2008 4月 24 のアーカイブ

いつも通りの昼下がり、僕は仕事に励む。

染み抜きの音がうるさいが、携帯電話が鳴っているようだ。

電話を見ると、嫁さんからだった。

僕は、忙しい時や集中したいときは嫁さんからの電話には出ない。

出なくても、後で話せるからだ。それを嫁もわかっている。

しかし、今回はしつこい。

留守電になっても、またかけ直してくる。

「ん??これは何かあったかな?」

そう思い電話に出る。

「もしもし」

すると嫁は、物凄く動揺した声で

「どうしよう・・・。キキ死んでるんだけど・・・。」

キキとは、今年の初めに我が家にやってきたハムスター。

キーキーと鳴いた事から、長女がキキと命名した。

ペットは全く飼う気が無かったのだが、

子供たちの欲しい欲しいビームにやられ、結局、飼ってしまった。

条件は、自分たちで面倒を見ること。

もちろん、「任せて任せず」で、最終的には僕らがチェックする。

子供たちはとてもキキをかわいがり、みんなに「私たちの子供なの!」

と自慢していた。

そんなキキが、餌箱の前で死んでいるらしい。

今朝まで元気に動いていたし、エサも食べていた。

ただ、今考えると数日前からカラカラと回る道具では遊んでいなかった。

もっと早く気が付いていれば・・・。後悔である。

そして、その事実は子供たちにまだ知らせていないという。

こりゃ困った。

前回ダイヤの8とは違い、また買ってきて入れておく訳にはいかない。

嫁は、僕が仕事から帰ってきてから、子供たちに説明して欲しいらしい。

しかし、僕としてはそれは変な事で、

嫁に、子供たちにショックを与えないように話すように言った。

後のフォローは、僕がする事も伝えた。

その後は本当に大変だったらしい。

長女、次女ともに声にならないほど泣き、

話も出来なかったという。

その事実をメールで読んだ僕は、帰宅の前に「死」というものについて

どのように説明すれば良いか悩んだ。

今までも、じいちゃんばあちゃんの死は経験しているが

本当の身近なものの「死」というのは、初めての経験だろう。

僕が家に帰ると、キキの祭壇が作られており

花とエサ、水などが供えられていた。

本当に嫁さんは、こういう所が優れている。僕には出来ないと思う。

子供たちは、まだ泣いており目が腫れている。

「キキ死んじゃったね」

子供たちに話しかける。

「ちゃんと面倒見なかったから死んだの?」

次女が僕に問いかける。

「たぶん、病気だと思うけど、キキが天国にいけるようにお願いしようね」

そう言った時には、僕も泣いていた。

僕は、あの世を信じていない人間だが、この時ばかりは

「キキ、今までありがとう。天国へ行っておくれ」そう願った。

そして、子供たちと話した。

5歳と3歳の子供には、まだ「死」という話題は重たい。

しかし、目の前で起きてしまった事は受け入れなければならない。

うまく受け入れられるように、噛み砕いて話す。

それが僕の役割だ。

子供たちとかなり話した。うまく説明出来ない事もあったし、

天国等の、僕も良く判らない事、色々な話をした。

僕が話の中で一番気をつけたかった事は、死の恐怖を与えない事。

子供の心には、今回の事は、物凄くショックだったはず。

それは、「僕ら大人には判らないのかも知れない」と思っている。

純粋さが、僕とは違うはずだから。

死を受け入れるのと、死を恐怖するのは、僕の中では違うのだ。

子供たちが少し落ち着いたので、今度はお墓のことを話す。

いつまでも、このままにはしておけないので、キキを埋めなければならない。

ここでも、説明する。

合っているのか、間違っているのか、僕にもよく判らないが

一緒に話し、一緒に考えた。

「明日、キキを埋めよう」という話になったが、スコップが無いので

僕と長女は、スーパーへ買いに行った。

スコップを選ぶのだが、長女がまた泣いている。

「キキは女の子だから、赤色がいいよね」そういって、僕にスコップを渡す。

僕も泣く。スコップを持って泣いている親子。とても変な風景だろう。

翌朝、早起きしてキキを埋めに行った。

最後に抱っこしてあげようと、長女、次女ともにキキを抱く。

冷たく硬くなったキキ。

それを手のひらにのせ、泣いている子供を見て本当に悲しくなった。

そして、キキを埋め、お墓を作った。

その後は、子供たちの精神状態も安定している。

今回の事も、とても考えさせられた。

テーマが「死」という、とてつもなく重いものだったが

絶対に避けては通れない道である。

いずれは、僕たちも死んでいく訳で、

それを乗り越える強さも、成長の過程で学んで欲しいと、今回は沢山の事を話した。

時期は、早かったかも知れないけれども。

僕はあまり利口ではないので、「こういう話は何歳になってから」なんてのは考えない。

目の前に起きた事が、メッセージであり

その時に乗り越えるべき課題という考え。

偶然では無く、すべては必然。

僕は、まだまだ未熟だ。

家庭株式会社の平社員。

部長クラスになれば、説明も説得もうまくなるのだろうけれど。。。

さよならキキ

長女、次女の子供として我が家にやってきたけど

長生きさせてやれなくて、ごめんなさい。

ただ、キキのおかげで

動物と遊ぶ楽しさや、育てる大変さ、

そして、死というものを子供たちは学びました。

我が家に来てくれて、本当にありがとう。

そして、さようなら。