4月 2008 のアーカイブ

いつも通りの昼下がり、僕は仕事に励む。

染み抜きの音がうるさいが、携帯電話が鳴っているようだ。

電話を見ると、嫁さんからだった。

僕は、忙しい時や集中したいときは嫁さんからの電話には出ない。

出なくても、後で話せるからだ。それを嫁もわかっている。

しかし、今回はしつこい。

留守電になっても、またかけ直してくる。

「ん??これは何かあったかな?」

そう思い電話に出る。

「もしもし」

すると嫁は、物凄く動揺した声で

「どうしよう・・・。キキ死んでるんだけど・・・。」

キキとは、今年の初めに我が家にやってきたハムスター。

キーキーと鳴いた事から、長女がキキと命名した。

ペットは全く飼う気が無かったのだが、

子供たちの欲しい欲しいビームにやられ、結局、飼ってしまった。

条件は、自分たちで面倒を見ること。

もちろん、「任せて任せず」で、最終的には僕らがチェックする。

子供たちはとてもキキをかわいがり、みんなに「私たちの子供なの!」

と自慢していた。

そんなキキが、餌箱の前で死んでいるらしい。

今朝まで元気に動いていたし、エサも食べていた。

ただ、今考えると数日前からカラカラと回る道具では遊んでいなかった。

もっと早く気が付いていれば・・・。後悔である。

そして、その事実は子供たちにまだ知らせていないという。

こりゃ困った。

前回ダイヤの8とは違い、また買ってきて入れておく訳にはいかない。

嫁は、僕が仕事から帰ってきてから、子供たちに説明して欲しいらしい。

しかし、僕としてはそれは変な事で、

嫁に、子供たちにショックを与えないように話すように言った。

後のフォローは、僕がする事も伝えた。

その後は本当に大変だったらしい。

長女、次女ともに声にならないほど泣き、

話も出来なかったという。

その事実をメールで読んだ僕は、帰宅の前に「死」というものについて

どのように説明すれば良いか悩んだ。

今までも、じいちゃんばあちゃんの死は経験しているが

本当の身近なものの「死」というのは、初めての経験だろう。

僕が家に帰ると、キキの祭壇が作られており

花とエサ、水などが供えられていた。

本当に嫁さんは、こういう所が優れている。僕には出来ないと思う。

子供たちは、まだ泣いており目が腫れている。

「キキ死んじゃったね」

子供たちに話しかける。

「ちゃんと面倒見なかったから死んだの?」

次女が僕に問いかける。

「たぶん、病気だと思うけど、キキが天国にいけるようにお願いしようね」

そう言った時には、僕も泣いていた。

僕は、あの世を信じていない人間だが、この時ばかりは

「キキ、今までありがとう。天国へ行っておくれ」そう願った。

そして、子供たちと話した。

5歳と3歳の子供には、まだ「死」という話題は重たい。

しかし、目の前で起きてしまった事は受け入れなければならない。

うまく受け入れられるように、噛み砕いて話す。

それが僕の役割だ。

子供たちとかなり話した。うまく説明出来ない事もあったし、

天国等の、僕も良く判らない事、色々な話をした。

僕が話の中で一番気をつけたかった事は、死の恐怖を与えない事。

子供の心には、今回の事は、物凄くショックだったはず。

それは、「僕ら大人には判らないのかも知れない」と思っている。

純粋さが、僕とは違うはずだから。

死を受け入れるのと、死を恐怖するのは、僕の中では違うのだ。

子供たちが少し落ち着いたので、今度はお墓のことを話す。

いつまでも、このままにはしておけないので、キキを埋めなければならない。

ここでも、説明する。

合っているのか、間違っているのか、僕にもよく判らないが

一緒に話し、一緒に考えた。

「明日、キキを埋めよう」という話になったが、スコップが無いので

僕と長女は、スーパーへ買いに行った。

スコップを選ぶのだが、長女がまた泣いている。

「キキは女の子だから、赤色がいいよね」そういって、僕にスコップを渡す。

僕も泣く。スコップを持って泣いている親子。とても変な風景だろう。

翌朝、早起きしてキキを埋めに行った。

最後に抱っこしてあげようと、長女、次女ともにキキを抱く。

冷たく硬くなったキキ。

それを手のひらにのせ、泣いている子供を見て本当に悲しくなった。

そして、キキを埋め、お墓を作った。

その後は、子供たちの精神状態も安定している。

今回の事も、とても考えさせられた。

テーマが「死」という、とてつもなく重いものだったが

絶対に避けては通れない道である。

いずれは、僕たちも死んでいく訳で、

それを乗り越える強さも、成長の過程で学んで欲しいと、今回は沢山の事を話した。

時期は、早かったかも知れないけれども。

僕はあまり利口ではないので、「こういう話は何歳になってから」なんてのは考えない。

目の前に起きた事が、メッセージであり

その時に乗り越えるべき課題という考え。

偶然では無く、すべては必然。

僕は、まだまだ未熟だ。

家庭株式会社の平社員。

部長クラスになれば、説明も説得もうまくなるのだろうけれど。。。

さよならキキ

長女、次女の子供として我が家にやってきたけど

長生きさせてやれなくて、ごめんなさい。

ただ、キキのおかげで

動物と遊ぶ楽しさや、育てる大変さ、

そして、死というものを子供たちは学びました。

我が家に来てくれて、本当にありがとう。

そして、さようなら。

数日前の出来事。

夕食が終わり、僕はいつもどおり焼酎を飲んでいた。

ふと横を見ると長女が泣いている。

ビックリした僕は、「どうした?どこか痛いの?」と聞いた。

すると長女は、「トランプが何枚か無くなったの」そう答えた。
実は、今回の春休みに僕の実家に行っていた長女と次女は

ばあちゃんの影響でトランプが出来るようになっていた。

我が家にはトランプが無かったので、長女は

毎日のように「トランプ買って〜!」とおねだり。

別にトランプぐらい買っても良かったのだが、毎日毎日、トランプをやらされる

と思うと、中々買えなかった(笑)
一週間ぐらいすれば、「買って!」と言わなくなるだろうと思っていたが

思いのほかシツコク粘る。

最後に根負けしたのは僕。

安いトランプを買い、毎日毎日、トランプの日々だった。。。

トランプを買った時、約束をした。

必ず片付けをしなさいと。

なので、トランプが無くなった長女には大事件。

泣きながらトランプを探す。
知らんぷりも出来ないので、僕も探す。嫁も探す。次女は探すフリ。

5枚無かったのだが、4枚は見つかった。

ベットの下にあったり、おもちゃの中にあったり。

しかし、最後のダイヤの8がどうしても見つからない。

家族総出で2時間探すも、見つからない。

結局、夜も11時になり、長女次女共に幼稚園もあるのでその日は寝ることに。
僕は考えた。

新しいトランプを買っても良いが、無くなったら新しいのを買ってくれると

子供が思うことに、物凄く不信感があった。

新しいトランプを買い与えるのは簡単だが、それでは子供が成長しないように思った。

物を大切にする子供になって欲しい。

しかし、僕は結局同じトランプを買った。

そして、ダイヤの8だけを取り出した。

家に帰ると、「ダイヤの8あったよ!」と子供たちに渡した。

残りのトランプは無駄になるが、丸々買い与えるよりも良いと思ったのだ。

嘘ではあるが、新しいトランプを買うよりは良いと思った。

子供たちは「良かったね」と一段落だが

不振がっているのは嫁である。

 

「昨日あんなに探したのに、家に帰ってきたとたんに見つけられるはずが無い」と思ったらしい。

そりゃそうである。正論。
僕に向かって嫁はこっそりと

「トランプどこに隠してたのさ?」と聞いた。
「はぁ?隠すってなによ!」

カチンときたが、まあ、かなり不自然なので当然と言えば当然。

僕は嫁に事情を説明した。

もしかしたら、トランプが無くなってトランプが出来ないといのも

子供にとっては良いのかも知れない。

物を大切にし、片付けをきちんとする子供になるのかも知れないし。

嫁に相談しないで、トランプを買ってきた僕はどうなのか。。。

家族の問題なので、嫁に相談をしなかった僕も悪かった。
こういうのって、本当に難しい。
物を買い与えるのは簡単だが、良い方向に行くのかは判らない。

もう少し大きくなれば、ゲームを持っていないからという理由で。

仲間はずれになったりするかも知れない。

服にしたって、靴にしてもそうだ。

子供が「欲しい」と言ったらどうするのか?
「必要であれば買う」

 

それはそうなのだが、そもそも「必要」とは何なのか?

隣の子が持っているから必要?

子供が欲しがっているから必要?

親が身につけさせたいから必要?
難しい。

親の見栄の為に子供を使おうとは思わないが、

あまりにもみすぼらしい格好はさせられない。
与えるのは簡単だが、それで子供にどのような影響が出るか。

考えていかなけばなりませんね。

 

 

 

先日の日曜日、親戚の法事があった。

嫁は出席するが、僕と子供らは出席しなくて良いらしい。

天気が良い日曜日。

家でぼ〜っとしているのは勿体無い。

そこで、僕と子供たちは「暇だね〜。海でも行くか!」とドライブに出かけた。

海に向かう途中、「朝市」との看板を発見。

「朝市だってさ!魚とか食べられるかもよ?」

そう言いながら、看板の指示通りに車を走らせる。

しばらく走ると、朝市に着いた。

漁港に数店舗のお店が出ている。

車を止め、ブラブラと見て歩く。

見ると、カレイやホッケ、ヒラメなどが売られていた。

生きているものもあり、どうやら採れたてのようだ。

僕は考えた。

今、法事で親戚が集まっている

カレイを買って帰る

「わぁ!凄いね!」と親戚に言われ喜ばれる

「パパって、気が利くのね!」と嫁に褒められる

僕のお小遣いUP!

僕の頭の中はすでに、喜びで興奮している親戚が写っており

「カレイを買わない」という選択は消去されていた。

まずは、財布の中をチェック。財布の中身は12,000円。

「んん〜、12,000円か〜」

そしてカレイの値段をチェック。

ザルのような物に入れられ、3匹入って500円と値札が付いている。

大輔コンピューターは動き出した。

親戚は15人程度居るはず。

1家族4人と計算して、1人1匹食べるには60匹は必要だ。

3匹500円だから、60匹で10,000円。

「一万円か〜。。。」

しかし、仕方が無い。

喜んで貰うためには、多少の出費は必要だ。

まあ、最近読んだ本に「人に喜ばれる事をしなさい」みたいな事が書いてあり

それの超受け売りなんですけどね(笑)

悩んで、子供とも相談する。

「カレイさ、買っていって喜ばれるかな?」

「喜ばれると思うよ。だって、カレイ美味しいもん」

「そうだよな!よし、買おう!」

勇気を振り絞って、お店のお姉さんに注文する。

「カレイ、一万円分下さい」

「はいよ!ちょっと待ってね」

そうお姉さんは言い、カレイをビニールの袋に入れだした。

「袋は分ける?」

そう言われ、「そうですね、じゃあ10個ぐらいに小分けして下さい」

僕はそう答えた。

次々と袋に入れられているカレイ。

子供たちと、「凄いね〜!」と見つめる。

僕は、「俺だって買うときは買うんだぜ!」と自慢げな顔をしていただろう。

でも、僕の予想をはるかに超えた量が袋に入れられている。

サービスしてくれているのかな???

そう思って、しばらく見つめる。

しかし、お姉さんの手は止まらない。

不安になった僕は、お姉さんに話しかける。

「あの・・・。一万円分なんですけど・・・・」

僕の財布には、12,000円しか入っておらず、支払いが出来ない恐れがあった。

お姉さんは、威勢の良い声で

「カレイ一万円分だから、20キロね!」そう答えた。

「はぁ?」

僕ちょっと考えた。意味がわからない。

もしかして、3匹500円では無く、キロ500円だったのか!

ザルに置いてあったカレイは、大きさを表すものだったのか・・・・。

カレイって安いんだな。。。

非常に困った僕は、おそるおそる

「キロ500円ですか?」とお姉さんに聞いてみる。

「うん、そうですよ!ちょっとおまけしておきますね!」

との回答。

「ガビーン!!!!」

僕は「やっぱり、3,000円分にしてください」

そう言いそうになったが、嬉しそうな店員さんを見ていると

とても言えなかった。。。

しばらくして、「はい!どうぞ!」とお姉さん。

僕は一万円を支払い、20キロのカレイを受け取った。

20キロのカレイ。。。

何枚入っているのだろう?100枚どころの話では無い。。。。

しかし、僕の頭はおめでたく、すぐにプラス思考に切り替わる。

「まあ、沢山貰ったほうが皆嬉しいだろう!」

車に満タンのカレイ。

長女は「パパ、凄い量だけど大丈夫?」と、ちょっと心配そう。

「大丈夫!大丈夫!」みんな喜ぶよ〜!

そう言いながら、僕は親戚の家に車を走らせた。

親戚の家に着くと、ちょうどお坊さんが帰る時で

嫁さんに「ちょうど良いところに来た!お見送りだけでも一緒にしよう」

そう言われた。

お坊さんが帰ったあと、「それでは我々も行きますね」

そう言い出した本家の人達。

「室蘭が本家なんで、そっちでも法事やるんですよ」

車に乗り出す黒い服を着た人達。

おいおいおいおい!!!!

ちょっと待ってよ!

俺はカレイ20キロ買ってきたんだって!

そう叫びそうになったが、言える雰囲気では無い。

とりあえず、愛想笑をしながら

「カレイ食べる?」

そう聞いてみた。

「いや、いらないよ。これから室蘭に行くんだもん」

まるでドラクエのザラキのような言葉。

しかし、僕は死ぬわけにはいかないのだ。

だって、車にカレイ20キロあるんだもん。

「それでは、お疲れ様でした」

そう言い残して走り去っていく車。

どうする?どうするの?カレイ。

これほどカレイに苦しめられた事は無い。

全ては僕の浅はかな考えと、大輔コンピューターの故障のせいだ。

車が走り去った後、とりあえず残っている数人に声をかける。

「カレイ食べません?」

すると予想外の答えが!

「ええ〜、さばくのメンドクサイ」

うるせ〜!!!黙って貰えや!

本当に叫びそうになったが、そこは大人の対応。

「いや、とれたてだからさ、新鮮で美味しいよ!少しでも持ってかない?」

そう言いながら、無理やりカレイを渡す。本当に無理やり渡す。

要らないそぶりを見せていても、強引に渡す。

当初の「みんなに喜んでもらう」そういう理念は消え、

とりあえず、20キロのカレイを配るに変わっていた。

それからは、ひたすら親戚や知り合いの家を回りカレイを配る。

2年ぶりに会う人とかも居た。

ビックリしただろうね。

2年間も連絡もしてなかたのに、いきなり「カレイ食う?」って来るんだから(笑)

本当に浅はかだ。僕は。

でもね、このカレイのおかげで沢山の人に合えた。

そういう運命だったのかな。

ありがとうカレイ!

でも、もうしばらくあなたには会いたくありません。