3月 2007 のアーカイブ

「すいません、ボンドのシミなんですが抜けますか?白○舎に出しても駄目だったんですが・・・。」
品物を見ると、スカートにボンドがベットリ付いている。

正直、ボンドや瞬間接着剤はそんなに難しいシミではない。
僕は、「大丈夫ですね。落ちますよ!」と軽く返答した。

「チョッとやってみましょうか?」と実演染み抜きを始めた。
染み抜きをしようと思った瞬間、シミの一部に違和感を感じた

「あれ?なんか変だぞ?黄色が強い?染色してある?」

そう思ったのだが、「NHKさんが居るから良いところ見せないと!」
と染み抜きをした瞬間、色がズッポリ抜けた。水しか使っていないのに。

「やられた!顔料製品だ!」

※顔料とは、凄くわかりやすく言うと「色が付いた砂粒染め」。染料ではない。
 染み抜きの物理的圧力で砂粒が流れ脱色する。染み抜き屋の強敵!

でも、お客様は「どうですか?やっぱり駄目ですか?」と・・・。

僕は「直りますね。大丈夫ですよ!」とポーカーフェイス。
内心、「ここまで大きくボンドが付いていたら、かなりの脱色補正を覚悟しなければ。」と思った。

これは僕の推理だが、たぶん白○舎も脱色させてしまったのだ。
で、ビックリしてあわてて染色したのだが、色が合わずにそのまま納品したのだ。やられた。。。

何が問題かというと、時間だ。正直、2時間コース間違いなし。

横で見ていたNHKさんは、「本当に直るんですか〜?」と明らかに疑っている。

その時は、顔料と染料の話は一切しなかった。
脱色は小さければ、何とかなるんです。でも、今回はでかすぎる。

でも、男は引けない時がある!意地を見せるのです。

NHKさんが帰った後、衣類の修正作業に取り掛かった。
まず、ボンドを除去しなければならない。
ボンドを抜くと、顔料が抜ける。最小範囲で処理していく。

色々考えたが、顔料製品を脱色させずにボンドを抜く方法が浮かばない。
誰か知っている人が居たら教えて〜。

それでも、かなりの大きさになってしまう。ちょっと、具合も悪くなる。めまいもする。
脱色の写真は、ボンドを抜き終わり脱色しているスカート。これから染色補正をしていく。

写真ではわかりにくいが、黄色い染料を抜く作業からはじめる。
白く見えるが、微妙に黄色い。これは、先人者が染色した染料だ。コンチクショー!

その後、下地をピースで作る。そして、筆で染色していく。
ほとんど、プラモデルの世界である。でも、僕はプラモデル作れないんですがね(笑)
  before         after脱色修正1脱色修正2 
で、2時間半後やっと修正完了!ほとんどわからない状態まで修正できた!
でも、写真ではわかりにくいが微妙にキワが付いてしまった。
まだまだ腕が未熟だ。修行が足りん。

ここで、衣類メーカーさんにちょっと言いたい事がある!
顔料製品作るのは良いが、その後のケア方法も考えて欲しい。

なんでもかんでも「クリーニング店・専門店にご相談下さい」では無理だっちゃ!
しかし、品質表示に「顔料製品です」と書いているメーカーさんは、まだ許せる。
一応、クリーニング店に気を使っているって事ですからね。

また、消費者にも説明が必要ですね。
「ボールペンのシミを抜いたら脱色します」とかって品質表示に書いて欲しいですね。

あと、いくら品質表示に「これは、風合いの変化を楽しむ商品です」って書いても
買った本人は、そうは思っていないの!クリーニングに出せば新品になると思っているの!

クリーニング店 VS 衣類メーカーの戦いですね。
でも、一番は消費者ですから、お互いに歩み寄りが必要だと僕は思います。

色堅牢度の話など、書くと長くなるのでまた今度にします。

 

 

瞬間接着剤は、家庭で取るのは限りなく不可能でしょうね。
まず、薬品と道具が手に入らないですよね。
瞬間接着剤が付いてしまったら、すばやくプロに任せましょう!
瞬間接着剤やボンドには、アセトン・ジメチルフォルムアミド・メチルエチルケトン・酢酸エチル等、
一般の人には馴染みの無い薬品を使用します。
上記薬品+熱+圧力で接着剤をこまこま落としていくのです。
接着剤系の除去は、結構辛い作業なのです。
でも最近は、接着剤のシミよりもマニキュアのシミ抜きの方が多いですね。
ネールアートの影響で、自分でする人が増えたんでしょうかね?
そして、ポトッと落としてシミになってしまう。
接着剤系よりは、マニキュアの方が全然楽チンです。
ペンキとマニキュアは、取れなかった事がまだありません。
でも、瞬間接着剤は取れなかった事があるんですよ。
アセテートという素材に瞬間接着剤が付いてしまうと、まず取れないのです。
取れないというか、薬品でアセテートが溶けてしまうのです。
アセテートに使用できる有機溶剤に酢酸イソアミルってのがありますが、これでは
頑固な接着剤を除去するのは厳しい。
だれかアセテートの瞬間接着剤の取り方を、知っている人が居たらこそっと教えて下さ〜い!
今回の瞬間接着剤は、ウール製品でしたから難なく除去する事が出来ました。
大阪から送られて来た品物で、「冬服の背広なのでゆっくりで良いです」と言われました。
でも、この薄さは北海道の夏の背広ですね。本州は暑いんだろうな〜。
先日、一本の電話が鳴った。
「ボンドのシミなんですが落ちますか?クリーニングに出したんですが駄目でした。」と男性の声。
僕は、「素材は何でしょうか?」
色々聞いた所、素材は綿のようだ。
札幌のお客様だったので「問題ないと思いますね。では、営業を伺わせますね。」と電話を切った。
翌日、営業がボンドの付いたコートを持ってきた。
僕は、先入観に見事にハマッた。
染み抜き職人として、問題なのはお客様の言った事を100%鵜呑みにする事だ。
こういう事は良くあって、「これ、コーヒーのシミなんだけど」と言われて、実は血液だったり。
お客様の事を信用するなとか、そういう話では無い。
お客様も間違う事もあるし、勘違いもする。こう考えている。
1時間、ボンドと格闘した。
ボンド系は通常、油性処理だ。溶解力の強い薬品を使用し、除去していく。
取れない・・・。ボンドが取れない・・・。どうして取れない?・・・・。
ボンドや瞬間接着剤は、取れない事はほとんど無い。
しかも、今回のように全く取れない事はまず無い。
僕は、「このボンドは取れない。諦めよう。」そう思った。悔しさ20000%だった。
諦めたその時、スソに同じ色だが薄いシミを見つけた。
「お金は貰えないが、この染みは抜いておこう。」
漂白は出来る生地なので、漂白処理をして落とした。
この染みは水溶性のシミだった。しかも果物のシミのようだ。
「もしや・・・」
そでのシミを、水溶性処理すると薄くなった。
ボンドは、水溶性処理は基本的にしない。僕はボンドだと100%思い、水溶性処理、漂白はしなかった。
そうなのだ、このシミは果物のシミだ。
汁が付いたのでは無く、潰れて実ごと付いたのだと想像される。
そして、乾燥しシミとなった。
さらに、ドライクリーニングされプレスされカチカチに固まったのだろう。
僕もまだまだ未熟だ。修行が足りん!