2007 3月 6 のアーカイブ

このジャケットは、いわゆる顔料製品と言われる物である。

最近では、「この品物は染み抜きが出来ません。」

そう親切に品質表示に書いてある物も多くなった。

顔料製品を染み抜きすると、まず色が飛ぶ。

細かい粒子で染めているので、色が飛びやすい。

 

今回の脱色は、色が物凄く難しい。

顔料でこの色を合わせるのは、物凄いテクニックが必要だ。

クリーニング店の事故品という事で、なんとしても100%直さなければならない。

かなり時間はかかったが、満足出来る結果だった。

「クリーニングをお願いします。」

そう言って、当店を訪れてくれた女性のお客様。

 

カウンターの上で品物を見る。

「お客様、これは脱色でしてクリーニングでは元には戻りませんよ。」

僕は、動揺させないように優しい口調で話した。

 

しかし、お客様は動揺。

「え!そうなんですか!汚れて白くなっているのかと・・・」

悲しそうな表情。

 

「でも、色を入れれば元に戻りますよ。クリーニングというか、お客様はこのポケット付近の白いのが気になるんですよね?」

「そうなんです!」

「では、それほど汚れていないですし部分的に色を入れる形でどうですか?」

 

お客様から、色を入れることでOKを貰った。

僕らプロは、脱色と汚れが判る。

でも、一般の人には区別は難しいだろうね。

 

お客様は、グレーが白くなった部分が気になったのだ。

しかし、クリーニングという言葉しか一般的ではない。

だからクリーニングと言ったのだ。

 

マッキントッシュは、ゴム樹脂で加工されているコートだ。

撥水効果は優れているが、摩擦での脱色や樹脂劣化が起こりやすく

かなり注意が必要なコート。

 

ポケット周りに、慎重にエアピースで色を入れていく。

キレイに治ってよかった〜!

「シミが付いたので、水で擦ったら脱色してしまいました。」

脱色系のトラブルでは、最も多いのがコレ。

 

多くの衣類は、水+摩擦=脱色

この方程式が成り立つ。

脱色の原因は、染料が取れる場合もあるが

多くの場合は、繊維が切れて毛羽立ち脱色する。

 

自分で染み抜きをする場合は、かならずテストする事をお勧めする。

見えない部分で、試すだけ。

水を付けただけで、シミになる物だってあるから。

 

今回は、ヒジ付近の脱色。

写真ではイマイチ判りにくいが、かなり白くなっている。

まずは、毛羽立ちの修正。そして色を入れて終了。

脱色は、クリーニングでは絶対に治りません。