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蛍光ペンのシミは、以前まで僕の中でとても手ごわいシミだった。
しかし、剥離剤の存在により除去率が大幅にUPした。やはり研究は大事!
赤色系のシミには、基本的に酸素系漂白剤は効かない。
還元漂白が有効なのだが、還元漂白は色が抜けてしまう。
「染色補正すれば良いじゃん!」って言われそうだが、染色補正は本当に時間がかかるのだ。
「なんとなく判らなくする」のは意外と簡単なのだが、「100%わからなくする」
これを追求すると、時間の下敷きとなってしまう。
染色補正が出来る人ほど、色を抜かないようにするものなのだ。
めんどくさいの判っているからね(笑)
  before         after蛍光ペンの染み抜き1蛍光ペンの染み抜き2 

今回の依頼は、兵庫県からだ。
「15cm程にわたって、しゅっと線を書かれてしまいました。
 付けられて直にクリーニング店に相談しましたが、しみを取ることによって
 元の色まで落ちてしまうのでできないと断られてしましました。」
このジャケットは起毛しているタイプで、クリーニング店ではいじりたくないタイプ。
しかし、試験の結果、地色は抜けない。酸素系・還元系の漂白剤にも色は持つ。
何で、クリーニング店は地色が抜けると言ったのだろう?
その場しのぎをしていると、他の店でキレイに染み抜きされると
そのお店の信頼はがた落ちすると思う。
しかもこれは、義母から貰った大切な一着との事。
何とかしなければならない。
起毛しているので、出来れば水系は使いたくない。
油性の染み抜き剤と、代替エタンで丁寧にマジックを抜いていく。
毛羽立ちや、スレがおき易い繊維なので細心の注意が必要だ。
起毛を寝かせずに抜くのに、かなり神経を使った。
朝会社に来ると、問題のネクタイが・・・。
インクがベットリ付いてるんです。
染み抜き屋だから、染み抜きばっかり。
当たり前だけど、普通の品物はまず来ない(笑)
みなさん、電話での問い合わせでは
「クリーニングに出して取れない物も取れますか」と聞きます。
僕は、「そういう物しか来ません」と返答する事が多いですね(笑)

ネクタイの染みは、染み抜きの設備が整っていないと抜けません。
蒸気とエアーだけでは厳しい。
芯まで濡らしてしまうと厳しい場合も多いですね。
そういう時は、裏技を使います。これは秘密だけどね。
今回のネクタイは、芯までインクベットリだったので裏業は使えませんでした(涙)
表面のインクだけ除去しても、クリーニングでインクが出てくる可能性がありますから。
とにかくキレイになって良かった〜。
  before         afterネクタイのインク染みネクタイのインク染み2 

 

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インクにも色々種類があり、このインクには僕の染み抜き剤が合っていたようです。

「地色が抜けたら染色補正をすればいいじゃん」って人が居ますが、
出来れば、「色を抜かずにシミが抜ければ良い。」 これは100人中100人そう答える。
だから日々、色々な研究をしています。
化学式はそんなに詳しくありませんが、「このシミにはこれ」っていう先入観は
染み抜き技術の進歩の妨げになると思う。
ふとした事から、オリジナルの染み抜き剤が出来たり、オリジナルの染み抜き方法が出来たり。
「これが1番良い」
そう思った瞬間から、技術は衰退していくと僕は思う。